退職手続き

【社労士監修】退職したいとおもったらまず就業規則をチェック

あなたがもし会社を辞めようと思い始めたときにはまず会社のルールブックである就業規則を確認しましょう。なぜ就業規則を確認するのか?その理由は就業規則に何日前に退職を申し出る日が必ず記載されてあります。円満退職ができる人はこの就業規則をうまく活用している印象が強くあります。就業規則をどうやってうまく活用するものなのかを理解している人は少ないかもしれません。そこで今回は、あまり馴染みのない就業規則について説明します。

就業規則とはいったい何?

就業規則は従業員の働く環境や待遇を定めたいわゆる会社のルールブックにあたります。具体的には、就業規則には始業、就業の時刻、1日の労働時間、休日の種類、給与項目でどの様な手当があるか、また退職や解雇に関する事項や服務規定などのこの会社の社員としての行動規範など会社で働くうえでのルールが規定されています。

つまり、就業規則は、社員が働く上でのルールを定め、公平な労働環境を保証するための非常に大事なルールブックと言えます。

労使ルールの優劣関係

✅労働基準法(国内共通の働くための最低基準のルール、違反すると多くの条項に罰則があります)
  ↑
✅就業規則(社内での統一ルール、労働基準法を下回る内容はNG
  ↑
✅労働契約(社員個人と会社間の約束)

やめ太郎くん

例えば就業規則が労働基準法を下回っている場合にはどうなるのですか?

労働基準法は守らなければならない最低基準のルールなので、就業規則が労働基準法を下回っている(もしくは書かれていない)部には無効となり労働基準法が適用されるので安心してね

法務子先輩
やめ太郎くん

1日12時間労働で週6日72時間勤務なんて就業規則だったらはどうなるの??

その場合は就業規則が労働基準法で定めている最低基準を下回っているので労働基準法で定めている1日8時間、週40時間までというルールが適用されるので安心してね

法務子先輩

なぜ就業規則が重要なのか?

就業規則は、会社のルールブックであり、そのルールがいつでも見ることができれば、従業員は自分の権利とその義務を把握することができます。た、就業規則で決められたルールがあることで企業も従業員との問題を公平に解決することができます。

例えば、お堅い客層がメインの接客業で新しく入社した社員がお店の品のある雰囲気を壊してしまう派手なネイルとミニスカートで来てしまった場合など、服務規定等で社内のルールブックとして従業員全員がいつでも見ることができるようにしていれば、会社のルールブックである就業規則を参照することで誰にでも公正な判断が下されることとなります。

会社を辞めると決意したらまず就業規則の退職項目を確認!

ここでは実際に会社を辞めると決意したときにまず就業規則の退職項目を確認しましょう。その退職の項目にはどこの就業規則でも、次のように退職手続きについて書かれているとおもいます。

(退職手続)
第〇△条  社員が自己の都合により退職しようとするときは、少なくとも30日前 までに文書により退職の申し出をしな    ければならない。

このように会社へ退職の申し出する時期について記載されています。この期間は会社によって様々で60日前や90日前の期日を設定している場合も多くあります。

退職を考えるときは争わず、できるだけ円満退職を目指すのが定石となります。そのためにも会社の統一ルールブックである就業規則で退職の手続きのルールに従う必要があります。

民法と就業規則はどっちを守るべき?

やめ太郎くん

いろいろなブログをみると、民法では2週間前に退職届を出せば辞めることができるとかいてあってどっちを信じればいいの?

前述のとおり、法律と就業規則では法律が強いので、この場合は会社が就業規則で〇〇日前に退職の申し出をすると規定していても、いつでも労働者から退職の申し出をすることが可能で、労働者の退職の申し出から2週間が経つと退職の効力(民法627条1項)が生じるということから民法上で最短で2週間前に会社に伝えることで雇用契約の解約が成立するとなっています。

このようなことからよく、民法上、2週間で退職が成立すると様々なブログで書かれている背景になります。

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第627条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する

引用:民法627条1項

一方、上記の民法第627条では、解約の申し入れの日から2週間で雇用契約の解約が成立するとありますが、会社によっては「退職する場合には30日前までに退職の申し出をする」と就業規則に定めており、この申し出の日数がだいたい30日から90日の範囲で会社ごとにまちまちです。

この場合でも、法律上の期間の定めは労働者が不当に拘束されないようにするための期間とされているため、就業規則よりも法律が優先されるものと考えられます(広告代理店A社元従業員事件_労務不提供等理由の損害賠償請求:福岡高裁 H28.10.14)。

従いまして、争いはありますが就業規則上に30日前に退職の申し出をしなければならないと定められていた場合であっても、最短で2週間で退職することが可能と考えられています。


ただし、通常、就業規則の定めは、会社の業務の引き継ぎのために必要な期間を設定したものと考えられます。退職まで時間に余裕があるのであれば、しっかりと引き継ぎを行ってから退職した方が、会社とのトラブルを避けやすくなるでしょう

退職の申し出から2週間経てばオールOKと考えるのは少し危ないです。損害賠償の可能性でトラブルになる可能性もあるので間違いがないのは就業規則の記載されている退職の申し出の期日のとおり進めるがよいとおもいます

法務子先輩
やめ太郎くん

どうしても2週間でやめたいです、、涙

そんな場合は弁護士や社会保険労務士の専門家や監督署に相談するのも方法の1つ

法務子先輩

円満退職を目標に就業規則の退職手続き日から逆算しスケジュールを組もう

ゆとりのあるスケジュールを計画をする

まず、会社を辞めようと決意したときに退職の申し出をいつするかが気になるところでしょう。ある程度転職先の都合があるとしても、現在働いている会社への退職の申し出が退職日から何日前まですべきなのか確認する必要があります。

就業規則の退職の項目を確認し、例えば退職予定日の30日前までに退職の申し出をするというルールであれば、会社が問題なく退職の手続きを進められるように退職のスケジュールに余裕を持って準備したうえで会社に伝えることで円満退職につながりやすくなります。

やめ太郎くん

変な引き留めとかあったら考えただけでめんどくさいです~

実はこれ逆に『就業規則に記載されている退職の申し出の日数に従ってます!』と就業規則を盾に退職交渉をすると会社側もそれ以上言い出しにくいので就業規則をうまく活用するとよいとおもうよ

法務子先輩
やめ太郎くん

もし、体調が悪化してどうしても会社に退職の申し出ができないなんてときはどうしよう、、

そんなときは退職代行をつかっても全く問題ないとおもうよ。一番大事なのは自分なのでできるだけ負担がかからない事

法務子先輩

就業規則は契約社員やパート・アルバイトでも閲覧できる?

結論、誰でも就業規則をみることができます。契約社員でもパートでもみることができます。ただし、会社の規模が小さい場合などは正社員の就業規則は作ってあっても、契約社員やパート・アルバイトの就業規則はまだ作れていない会社は少なくないです。

実際に、いろいろな会社をみてきてわかるのが、会社もわざと作っていないわけではなく、会社の規模が小さくマンパワー不足なので、なかなかそこまで手がまわっていない会社がとても多いです。

なので、ご自身が契約社員やパート・アルバイトのときは『契約社員就業規則』や『パート・アルバイト就業規則』の有無を会社に確認するとよいと思います。

なお、労働基準法において、会社は就業規則がいつでも見ることができる場所に保管することが義務付けされています。

まとめ

退職したいと思ったらまずはご自身が務めている会社の就業規則の退職項目を確認してください。会社によって退職前〇〇日前に退職の申し出をしてくださいと「〇〇」日前が30日前だったり、長い場合は90日などがあります。

これらは別に会社が嫌がらせをしているわけではなく、病院や高齢者および障がい者施設などの求人募集してもなかなか人材採用が難しい職種などが採用から引継ぎまで時間がかかるため、退職の申し出の期間を長く設定している傾向があります。

例えば、狭い業界なのでなるべく円満退職をしたいという方は余裕をもったスケジュールで早めの退職の申し出がベストになります。その際のポイントは繁忙期を避ける、また、強い引き留めに合う雰囲気であれば、就業規則の退職の申し出の期日をクリアしていることを伝え、退職に持っていく方法は有効といえます。

なお、この退職の申し出の期間が急であればあるほど会社とのトラブルになる可能性が高いといえます。しかし、メンタル不全などの体調不良でどうしようもなかったり、パワハラを受けているなどの場合は、退職代行などのサービスを活用することも有効な退職手段の1つといえます。このような場合は、迷わずまずはご自身を守ることが重要といえます。

以下、詳しくは【社労士監修】退職代行サービスを利用して失敗しないための5つのポイントをご覧ください。

-退職手続き